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初期の手作り歌集
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『17 歌集 春のゆき』
みなとのわかれ
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あさなぎのしづかなしづかな水のもに君のるふねはゆれていませり
君は行くさんごの住まふ水のへをチューリップの花むねにかざして
みなそこにはかなくなりてわれはかの君のりませるふね守らなむ
こまやかななぎさなぎさに見えかくれふねは出でゆくかまいし湾を
このまゝに君のるふねに吾もともにのりてゆかましなつかしのくにへ
さわさわとあさなぎの音のきこえゐてかなしきこゝろいやせまりくる
水のもにひとすじ白くみをひきてふねしづしづと水平のかなたへ
(二十一・五・三・泰子)