邂逅

ひとりなる人と別れていくよさの苦しかりしを語りあひつゝ
このまゝに死なましと想ふいく夜さを堪へ耒て君にこよひ逢ひつゝ
「このみちはいつか来たみち」うたひゐてはかなき思ひふと湧くゆふべ
うたひゐて「あゝさうだよ」のふしの哀愁を覚ゆるまでにいつ老いにける
 
   蓮の葉のいっぱいある池にたゝずんで石をぽんと投げる。大き
   なわは私の思ひをひろめてゆくばかり とある きみのふみを
   よみつゝ
 
池の面にきみのかげひとつゆれてゐるみどりの樹蔭に行かましものを
蓮の葉に君の投ずる石つぶてあたれる音は淋しからんに