失意(九・三)

ときのまの花なりしゆゑかくもろく秋さりてこそこぼれ初めしか
星一つ光る山の端に向きてたゞあゆみ果てんか闇の夜すがら
受けとめし心の激動こそこよなかる教訓と思へどおもひあへなくに
耒し方に今ぞあざやかに区切りせずばゆく末にまたまどひあるべし
愛情もたゝかひなりきひとすぢに依りて敗れしわがみぞあはれ
われのみが生くるいたみをたゝふるか仰げば頭上に銀河けぶれる
実在は己(し)がこゝろのみとふみよみにしみて念ほゆ今宵の本体論は
われなげくゆゑこそわが身ある如き思惟のもつれのすべなかる夜ぞ