せんだいにてうたへる一首ならびに反歌

   ”ひとすぢのあをき葦さへ 吹きふけばよき音をしらぶ ひとすじの
     ほのほとならば 何時の日かきみ燃えざらん“
   少女の日歌ひなれにし ひとふしのうたの言葉は むらぎものこゝろに あれど
   あをによし奈良のみやこの艶福なるくだら佛のものがたりえ果てもやらず
   柿の葉のおちばひそけき 夜のみちのほとりにもえし
   あくがれを告げもえやらず あかねさすきみとわかれて
 
鳥羽玉のくらきおもひを夜すがらの月のうつりにかこちけるかも