幻滅1

全かる㐂び湧けといくそたび泪ぬぐひて吾は願ひつ
絶対の世界を信じ嫁ぎ耒し吾や早くも幻滅に泣く
寝入りたるつまの重みを胸にうけなみだ拭ひて吾もねんとす
書く歌のまたかすみ耒てすべぞなきわが目の泪かわくまあらず
新たなる歓びわけと早春の空に願ふやにひ妻吾は
向山の花咲きそめて春さりぬと告げて見るべきつまにはあらぬ
はるかなる汽笛は淋しひとりゆく線路のみちによもぎもゆれど
絶対の光明を持つと人に言ひ人のほめし時吾は泣けたり