うつろなるひゞきをたてゝ笑ひたるわが聲きえて夜半は静けし
つぶらかにつがひあそべる小雀に及ばぬ思ひありて淋しも
透徹して生くる哲理はなきものかてりかげり常なきわれのたつきに
みとたまと依拠しつくすべき切実の哲理あれかし吾のゆくてに
執すればひとはかなしも疑心しふわびし思ひもみに知りそめつ 歌と随筆二四・六
いさゝかの疑心なれどもわびしくて日ぐれショパンを奏でゝぞ見つ 歌と随筆二四・六
(ここの家ゆのがれゆきても今宵より縋るべく宿す面影もなし 歌と随筆二四・六)
人と人と相容れがたき性格はすべなけれども泣く日もありぬ 歌と随筆二四・六
幾たびかさからひては泣く愚かさや妻はもだしてあるべけれども 歌と随筆二四・六