新婚記

わがつまの生くる限りは生き遂げむわが命ここに意義定まりつ    歌と随筆二四・六
きらゝめくめをとの星とあらしめむ夫と吾とは勵みあひつつ    歌と随筆二四・六
論点ははかなき齟齬をくり返し夜更けても夫も疲れそめしや    歌と随筆二四・六
春の夜の更けて明るき灯の下に笑みつゝぞ吾ら論じつきなく    歌と随筆二四・六
江戸文學に感傷性は無しと言ひありと言ひ張り論果てぬ吾ら    歌と随筆二四・六
向つ家の時計は一つ低く鳴り終へて新しき論據を吾は求めつ    歌と随筆二四・六
谷谷あたるせゝらぎの音の聞えゐてこの静けさに吾はたへなく
静寂に○○なしと云はねども静けきまゝに沈むを怖る
温帯のおだしきに慣れて眠りゆくわが野心を誰ぞもえたくしめ
天界のみ空はいかに春からむ夕づゝ一つひかりそめて