病床

みじろげば又縺れくる脈音に脅えつゝ脅えつゝ君の名をよぶ
病める日のまどはいつしかくれそめて目あけては又とづる思ひよ    歌と随筆二四・六
目ざむれば夢なりしやたぐ枕べに薬罐は煮えて君の影なき
まぼろしの君のかひなのむなしさに幾たびさめて吾やをのゝく    歌と随筆二四・六
病みなえて乳房かなしくふるへて燃えつゝ今宵君によりそふ    歌と随筆二四・六
みもたまも燃えて今宵を待ちにける病み妻吾やいだかれて泣く    歌と随筆二四・六
骨ばみし肩のへを君にさはらせてをんな心はうれしさに泣く    歌と随筆二四・六