一月十二日(金)

 月の影野木に青むや小夜更けて尊く續ける雪の山ひだ
 はり窓に寄れる光はひそやかに面わを見せて胸を叩くも
 青白き光に降り耒る冬の夜の更けししゞまに何を問ふらむ
 問ひ見れど應ふ声なしたそがれの野辺に叫べるこの吾が胸に
 夜半のしゞまに胸たたくものしきりなり月の御使ひ吾を召してか