★ 感傷を越えて

幼きを語らふ父の言の葉を無二の諭しと頭べ垂れつる
嵐吹く今宵の雨よそれに似て悩み逆巻く心なるかな
ほゝゑみを奪ひし去年の汽車のごと今また追ひぬ五時半の汽車
吾を慕ひ吾が後追ひて歌ひ耒る歌のみ響く夕山路かな
ためらひて寄り耒るもせで遠方の芽含む樹蔭に歌ふ君かや