★ 心の宿よ いづこ・・・?

沁み/゛\と問ひ見るひとも無き胸は消えし川面の魂を恋ひつる
せゝらぎの音さへ絶えて月落ちぬ月に描きし夢もうすれて
夕暮のさみしき路を戻りつゝ心の宿の無きを悲しむ
寒々と吹く秋風や月落ちて闇の夜深に物思ふかな
彼の面を慕ひ嘆くも宿命につまさるゝ身の儚なさなるや
哀れかや心を宿す宿も無し故里遠く離りつる身に
心おく宿を求めて彷徨へば縁も淡き面影を恋ふ
月落ちぬ書もかたへに頬抱きて遙かに遠き里を恋ひつる
さめ/゛\と涙する身に古里は尾花の丘の風に呼ぶなり
悲しみの雲に巻かれてその中に滅入り行くなりこの身の悲しさ
たそがれを夢につかれて彷徨へば乳色の霧の音なく溶けたり