目次
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全短歌(歌集等)
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まぼろしの椅子
夜半の楽の音
逆説と
わが敎へ子が
何もかも
なまなかの
諧調を
刹那刹那に
アンダルシアの
夢さめて
00055
逆説とばかりとられしわが言葉インコの籠覗きてより部屋に入る
ギヤクセツト バカリトラレシ ワガコトバ インコノカゴノゾキテ ヨリヘヤニイル
『まぼろしの椅子』(新典書房 1956.4) p.22
【初出】
『形成』 1955.5 春寒 (5)
00056
わが敎へ子が夫の敎へ子に嫁ぐ知らせ屆きぬ夫の歸らぬ家に
ワガオシヘゴガ ツマノオシヘゴニ トツグシラセ トドキヌツマノ カエラヌイエニ
『まぼろしの椅子』(新典書房 1956.4) p.22
【初出】
『形成』 1955.9 経緯 (6)
00057
何もかも見抜きていまさむ元氣を出せと最後に言ひて電話切り給ふ
ナニモカモ ミヌキテイマサム ゲンキヲダセト サイゴニイヒテ デンワキリタマフ
『まぼろしの椅子』(新典書房 1956.4) p.23
【初出】
『形成』 1955.9 経緯 (7)
00058
なまなかの批判には屈せずなりて來て悲しみは不意に内より湧き來
ナマナカノ ヒハンニハクッセズ ナリテキテ カナシミハフイニ ウチヨリワキク
『まぼろしの椅子』(新典書房 1956.4) p.23
【初出】
『形成』 1955.9 経緯 (8)
00059
諧調を求むるこころ夜更けてヴァイオリンの絃引き緊めてゆく
カイチョウヲ モトムルココロ ヨルフケテ ヴァイオリンノイト ヒキシメテユク
『まぼろしの椅子』(新典書房 1956.4) p.23
【初出】
『形成』 1955.9 経緯 (10)
00060
刹那刹那に生くる狂喜もわが知らず流浪者の唄彈きつつ寂し
セツナセツナニ イクルキョウキモ ワガシラズ チゴイネルワイゼン ヒキツツサビシ
『まぼろしの椅子』(新典書房 1956.4) p.24
【初出】
『形成』 1955.9 経緯 (11)
00061
アンダルシアの野とも岩手の野とも知れずジプシーは彷徨ひゆけりわが夢に
アンダルシアノ ノトモイワテノ ノトモシレズ ジプシーハサマヨヒ ユケリワガユメニ
『まぼろしの椅子』(新典書房 1956.4) p.24
【初出】
『形成』 1955.9 経緯 (12)
00062
夢さめて胸ははずめり何に追はれて驅けゐしかと闇に目あきて思ふ
ユメサメテ ムネハハズメリ ナニニオハレテ カケヰシカトヤミニ メアキテオモフ
『まぼろしの椅子』(新典書房 1956.4) p.24
【初出】
『形成』 1955.9 経緯 (13)