目次
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全短歌(歌集等)
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まぼろしの椅子
夜の落葉
何か秘めおく
われの外
歸らざる
わが守る
妹も
別れ住む
み手の線
00150
何か秘めおく如く鍵しめ部屋を出づ散り透きて明るき朝の道なり
ナニカヒメオク ゴトクカギシメ ヘヤヲイヅ チリスキテアカルキ アサノミチナリ
『まぼろしの椅子』(新典書房 1956) p.59
【初出】
『形成』 1955.3 夜の落葉 (1)
00151
われの外開くる人なき部屋の鍵をりふしバックの底にて鳴れり
ワレノホカ アクルヒトナキ ヘヤノカギ ヲリフシバックノ ソコニテナレリ
『まぼろしの椅子』(新典書房 1956) p.59
【初出】
『形成』 1955.3 夜の落葉 (2)
00152
歸らざる幾月ドアの合鍵の一つを今も君は持ちゐるらむか
カエラザル イクツキドアノ アイカギノ ヒトツヲイマモキミハ モチヰルラムカ
『まぼろしの椅子』(新典書房 1956) p.60
【初出】
『形成』 1955.3 夜の落葉 (3)
00153
わが守る偶像を毀つ如く若きらは夫の動靜を探りくれたり
ワガマモル グウゾウヲコボツゴトク ワカキラハ ツマノドウセイヲ サグリクレタリ
『まぼろしの椅子』(新典書房 1956) p.60
00154
妹も寂しからむ古風な女の型を抜けられぬ姉よと蔑みにつつ
イモウトモ サビシカラムコフウナ オンナノカタヲ ヌケラレヌアネヨト サゲスミニツツ
『まぼろしの椅子』(新典書房 1956) p.60
00155
別れ住む間さへ苛まれゐる身よ落葉に埋もれてしまひたくなる
ワカレスム マサヘサイナマレ ヰルミヨ オチバニウモレテ シマヒタクナル
『まぼろしの椅子』(新典書房 1956) p.61
【初出】
『形成』 1955.3 夜の落葉 (4)
00156
み手の線美しとのみ見ゐし月光像いま仰ぎなば涙あふれむ
ミテノセン ウツクシトノミミヰシ ゲッコウゾウ イマアオギナバ ナミダアフレム
『まぼろしの椅子』(新典書房 1956) p.61
【初出】
『形成』 1955.9 経緯 (14)