目次
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全短歌(歌集等)
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まぼろしの椅子
春の虹
いづくにか
感化院を
亡き母を
子供の園を
小鳥飼育の
黄のインコを
まぎれ入りし
巣ごもれる
00184
いづくにか虹かかりゐむ通り雨の過ぎて陽はわが枕べにさす
イヅクニカ ニジカカリヰム トオリアメノ スギテヒハワガ マクラベニサス
『まぼろしの椅子』(新典書房 1956) p.73
【初出】
『形成』 1955.1 微雨 (1)
00185
感化院を出で來るといふ少年をあたたかく待つかの家なれよ
カンカインヲ イデクルトイフ ショウネンヲ アタタカクマツ カノイエナレヨ
『まぼろしの椅子』(新典書房 1956) p.73
【初出】
『形成』 1955.5 春寒 (1)
00186
亡き母を忘れ得ず家をぬけ出でては罪累ねたる白痴少年
ナキハハヲ ワスレエズイエヲ ヌケイデテハ ツミカサネタル ハクチショウネン
『まぼろしの椅子』(新典書房 1956) p.74
【初出】
『形成』 1955.5 春寒 (2)
00187
子供の園を創らむとせし初代館長の遺物のロッヂに今もインコは飼はる
コドモノソノヲ ツクラムトセシ ショダイカンチョウノ イブツノロッヂニイマモ インコハカハル
『まぼろしの椅子』(新典書房 1956) p.74
【初出】
『形成』 1955.6 風聞 (3)
00188
小鳥飼育の役持つ少女時間となればエプロンかけて園に出でゆく
コトリシイクノ ヤクモツショウジョ ジカントナレバ エプロンカケテ ソノニイデユク
『まぼろしの椅子』(新典書房 1956) p.74
【初出】
『形成』 1955.6 風聞 (4)
00189
黄のインコを掌にとまらせて佇つ少女ヴェロニカの像をふとわが思ふ
キノインコヲ テニトマラセテ タツショウジョ ヴェロニカノゾウヲ フトワガオモフ
『まぼろしの椅子』(新典書房 1956) p.75
【初出】
『形成』 1955.6 風聞 (5)
00190
まぎれ入りし野生小雀もインコらと共に少女は育てむとする
マギレイリシ ヤセイコガラモ インコラト トモニショウジョハ ソダテムトスル
『まぼろしの椅子』(新典書房 1956) p.75
【初出】
『形成』 1955.5 春寒 (6)
00191
巣ごもれる幾組のインコ夜の貨車の音にめざめて一しきり鳴く
スゴモレル イククミノインコ ヨノカシャノ オトニメザメテ ヒトシキリナク
『まぼろしの椅子』(新典書房 1956) p.75
【初出】
『形成』 1955.6 風聞 (6)