目次
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全短歌(歌集等)
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まぼろしの椅子
古き樂譜
一生賭けむと
「悲愴ソナタ」
われに彈かせては
コンクール目指して
急速度の
何を至上と
さまざまに
00200
一生賭けむとピアノに凝りゐし日は遠し練習曲のふしをふと吟む
ヒトヨカケムト ピアノニコリヰシ ヒハトオシ エチュードノフシヲ フトクチズサム
『まぼろしの椅子』(新典書房 1956) p.79
【初出】
『形成』 1954.10 去来 (5)
00201
「悲愴ソナタ」彈くべき卒業演奏も中止されにきかの空爆下
ヒソウソナタ ヒクベキソツギョウ エンソウモ チュウシサレニキ カノクウバクカ
『まぼろしの椅子』(新典書房 1956) p.79
【初出】
『短歌』 1954.11 古き樂譜 (9)
00202
われに彈かせては歌ひゐしソプラノ動亂の朝鮮に歸りてゆくへは知れず
ワレニヒカセテハ ウタヰシソプラノ ドウランノ チョウセンニカエリテ ユクヘハシレズ
『まぼろしの椅子』(新典書房 1956) p.80
【初出】
『形成』 1954.10 去来 (7)
00203
コンクール目指して競ひし友も今は亡し秋めく陽ざしに樂譜を曝す
コンクールメザシテ キソヒシトモモ イマハナシ アキメクヒザシニ ガクフヲサラス
『まぼろしの椅子』(新典書房 1956) p.80
【初出】
『形成』 1954.10 去来 (8)
00204
急速度の終樂章を幾夜彈きあぐみ秘かに哭きしことも思ほゆ
キュウソクドノ コーダヲイクヤ ヒキアグミ ヒソカニナキシ コトモオモホユ
『まぼろしの椅子』(新典書房 1956) p.80
【初出】
『形成』 1954.10 去来 (6)
00205
何を至上と信じけむ身ぞ惜しまれしピアノも遂にやめて嫁げり
ナニヲシジョウト シンジケムミゾ オシマレシ ピアノモツイニ ヤメテトツゲリ
『まぼろしの椅子』(新典書房 1956) p.81
【初出】
『短歌』 1954.11 古き樂譜 (10)
00206
さまざまに試みては挫けひとすぢに遂に徹らぬいのちかと思ふ
サマザマニ ココロミテハクジケ ヒトスヂニ ツイニトオラヌ イノチカトオモフ
『まぼろしの椅子』(新典書房 1956) p.81
【初出】
『形成』 1954.10 去来 (9)