事務服


00322
ただ一人朴訥にわれに同意せし蓬髪を思ふ會終へて來て
タダヒトリ ボクトツニワレニ ドウイセシ ホウハツヲオモフ カイオヘテキテ

『まぼろしの椅子』(新典書房 1956) p.127
【初出】 『形成』 1953.8 夜の雨 (1)


00323
傀儡の如き立場を歎く友も敎職には歸りたくなしと言ひたり
カイライノ ゴトキタチバヲ ナゲクトモモ キョウショクニハカエリタク ナシトイヒタリ

『まぼろしの椅子』(新典書房 1956) p.127
【初出】 『形成』 1953.10 職掌 (1)


00324
背景がもの言ふ世界と思ひつつたまりし官報を一人綴ぢをり
ハイケイガ モノイフセカイト オモヒツツ タマリシカンポウヲ ヒトリトヂヲリ

『まぼろしの椅子』(新典書房 1956) p.128
【初出】 『形成』 1953.10 職掌 (3)


00325
あたたかく心觸れ合ふこともなく今日も暮れて事務所の窓を閉ぢゆく
アタタカク ココロフレアフ コトモナク キヨウモクレテジムショノ マドヲトヂユク

『まぼろしの椅子』(新典書房 1956) p.128
【初出】 『形成』 1953.10 職掌 (4)


00326
張り合ひて生くることにも疲れ果つ勤め辭めむ日を描く秘かに
ハリアヒテ イクルコトニモ ツカレハツ ツトメヤメムヒヲ エガクヒソカニ

『まぼろしの椅子』(新典書房 1956) p.128
【初出】 『形成』 1953.6 あけくれ (5)