訪ひ來し敎へ子


00360
啓示の如きものを求めて訪ひ來しかわが前にはやさしぐむ少女
ケイジノゴトキ モノヲモトメテ トヒコシカ ワガマエニハヤ サシグムオトメ

『まぼろしの椅子』(新典書房 1956) p.141
【初出】 『朱扇』 1953.2 訪ひ来し教え子 (1)


00361
かりそめの甘き言葉にもくづほれむ態勢にある汝と思へり
カリソメノ アマキコトバニモ クヅホレム タイセイニアル ナレトオモヘリ

『まぼろしの椅子』(新典書房 1956) p.141
【初出】 『朱扇』 1953.2 訪ひ来し教え子 (2)


00362
みより少き少女が遠く住むわれを訪ふまでに經來し惑ひも思ふ
ミヨリスクナキ オトメガトオク スムワレヲ トフマデニヘコシ マドヒモオモフ

『まぼろしの椅子』(新典書房 1956) p.142
【初出】 『朱扇』 1953.2 訪ひ来し教え子 (3)


00363
おもねるを處世のすべとなす人らの中に働く苦しみも告ぐ
オモネルヲ ショセイノスベト ナスヒトラノ ナカニハタラク クルシミモツグ

『まぼろしの椅子』(新典書房 1956) p.142
【初出】 『朱扇』 1953.2 訪ひ来し教え子 (4)


00364
温かき汁などを煮てねぎらへばそのかみの如き笑顏も見する
アタタカキ シルナドヲニテ ネギラヘバ ソノカミノゴトキ エガオモミスル

『まぼろしの椅子』(新典書房 1956) p.142
【初出】 『朱扇』 1953.2 訪ひ来し教え子 (5)


00365
肩細きうしろで寂し強くなれと諭されしのみに少女は歸る
カタホソキ ウシロデサビシ ツヨクナレト サトサレシノミニ オトメハカエル

『まぼろしの椅子』(新典書房 1956) p.143
【初出】 『朱扇』 1953.2 訪ひ来し教え子 (6)