目次
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全短歌(歌集等)
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まぼろしの椅子
霧の雨
合歓の花の
病ひをおして
理想低き
甘かりし
女なりとも
模範靑年と
姉の如く
學卒へなば
徒食する
霧の雨
00366
合歓の花の梢に晝の月はあり展けゆく未來もありと思はむ
ネムノハナノ コズエニヒルノ ツキハアリ ヒラケユクミライモ アリトオモハム
『まぼろしの椅子』(新典書房 1956) p.144
【初出】
『朱扇』 1952.8 合歓の花 (4)
00367
病ひをおして苦學遂げゆく汝を思へばわが生き方も安易の如し
ヤマヒヲオシテ クガクトゲユク ナヲオモヘバ ワガイキカタモ アンイノゴトシ
『まぼろしの椅子』(新典書房 1956) p.144
【初出】
『朱扇』 1952.8 合歓の花 (5)
00368
理想低き人らのみ富む世ぞと歎く汝が動揺を支へてやりたし
リソウヒクキ ヒトラノミトム ヨゾトナゲク ナガドウヨウヲ ササヘテヤリタシ
『まぼろしの椅子』(新典書房 1956) p.145
【初出】
『朱扇』 1952.8 合歓の花 (8)
00369
甘かりしわが人生觀が響きゐずや敎へ子たちの處世の上に
アマカリシ ワガジンセイカンガ ヒビキヰズヤ オシヘゴタチノ ショセイノウエニ
『まぼろしの椅子』(新典書房 1956) p.145
【初出】
『朱扇』 1952.9 百日紅咲く (4)
00370
女なりとも生活力を養へよと遠き敎へ子に書き添へてやる
オンナナリトモ セイカツリョクヲ ヤシナヘヨト トオキオシヘゴニ カキソヘテヤル
『まぼろしの椅子』(新典書房 1956) p.145
【初出】
『朱扇』 1952.9 百日紅咲く (2)
00371
模範靑年と言はれて苦學する汝の秘むる思想もわれは知りをり
モハンセイネント イハレテクガク スルナレノ ヒムルシソウモ ワレハシリヲリ
『まぼろしの椅子』(新典書房 1956) p.146
【初出】
『朱扇』 1952.6 事務服 (4)
00372
姉の如く告白を聞きてやりながらかたむき易きわれと思へり
アネノゴトク コクハクヲキキテ ヤリナガラ カタムキヤスキ ワレトオモヘリ
『まぼろしの椅子』(新典書房 1956) p.146
【初出】
『朱扇』 1952.6 事務服 (5)
00373
學卒へなば無醫村に勤めむと言ふ汝のひたむきにして抗ひがたし
ガクソツヘナバ ムイソンニツトメムト イフナレノ ヒタムキニシテ アラガヒガタシ
『まぼろしの椅子』(新典書房 1956) p.146
00374
徒食する階級を憎むと言ひし汝よ傘さしかけて歸してやりぬ
トショクスル カイキュウヲニクムト イヒシナヨ カササシカケテ カエシテヤリヌ
『まぼろしの椅子』(新典書房 1956) p.147
【初出】
『朱扇』 1952.6 事務服 (6)
00375
霧の雨降るとしもなき夕空のいづこよりぞ栗の花匂ひ來る
キリノアメ フルトシモナキ ユウゾラノ イヅコヨリゾクリノ ハナニオヒクル
『まぼろしの椅子』(新典書房 1956) p.147
【初出】
『朱扇』 1951.7 梅雨の晴間 (9)