遺書の言葉


00451
戀さへも虚しとありし遺書の言葉友失ひて幾年つねに思ひき
コイサヘモ ムナシトアリシ イショノコトバ トモウシナヒテイクトセ ツネニオモヒキ

『まぼろしの椅子』(新典書房 1956) p.177
【初出】 『朱扇』 1951.4 夢 (5)


00452
毒をのみて逝けるかの友の占めし位置隙間となりて今も殘れる
ドクヲノミテ ユケルカノトモノ シメシイチ スキマトナリテ イマモノコレル

『まぼろしの椅子』(新典書房 1956) p.177
【初出】 『朱扇』 1951.4 夢 (6)


00453
燃え盡きしいのちとも思ふ夭死せし友のノートの歌寫しつつ
モエツキシ イノチトモオモフ ヨウシセシ トモノノートノ ウタウツシツツ

『まぼろしの椅子』(新典書房 1956) p.178
【初出】 『朱扇』 1952.3 狭山紀行 (10)


00454
生くることが負擔になりぬと記しあり死の幾日前の友が日記ぞ
イクルコトガ フタンニナリヌト シルシアリ シノイクカマエノ トモガニッキゾ

『まぼろしの椅子』(新典書房 1956) p.178
【初出】 『朱扇』 1952.3 狭山紀行 (11)