目次
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全短歌(歌集等)
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まぼろしの椅子
丘のアトリエ
寂しくなれば
風景畫の
時雨過ぎて
褐色の
カルメンの
00482
寂しくなれば花など買ひて訪るる友ひとり住む丘のアトリエ
サビシクナレバ ハナナドカヒテ オトズルル トモヒトリスム オカノアトリエ
『まぼろしの椅子』(新典書房 1956) p.190
【初出】
『朱扇』 1950.11 風媒花 (4)
00483
風景畫の描きさしのある窓の邊に友は疲れてまどろみゐたり
フウケイガノ カキサシノアル マドノベニ トモハツカレテ マドロミヰタリ
『まぼろしの椅子』(新典書房 1956) p.190
【初出】
『朱扇』 1950.11 風媒花 (5)
00484
時雨過ぎて木の間滴する夕つ方ゴッホ畫集を借りて歸りぬ
シグレスギテ コノマシズクスル ユウツカタ ゴッホガシュウヲ カリテカエリヌ
『まぼろしの椅子』(新典書房 1956) p.191
【初出】
『朱扇』 1950.11 風媒花 (6)
00485
褐色の畫面にてアネモネの赤き繪の具匂ひゐたるを歸途にし思ふ
カッショクノ ガメンニテアネモネノ アカキエノグ ニオヒヰタルヲ キトニシオモフ
『まぼろしの椅子』(新典書房 1956) p.191
【初出】 『朱扇』 1951.5 女 (1)
00486
カルメンのやうな女と言はれつつ寂しき性の友と知るなり
カルメンノ ヤウナオンナト イハレツツ サビシキサガノ トモトシルナリ
『まぼろしの椅子』(新典書房 1956) p.191