目次
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全短歌(歌集等)
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不文の掟
海彼の友ら
共に学べる
抗日の
異邦に病む
ソ連圏に
メーデーの
夜半に聴く
日本の秋を
00583
共に学べる寮の幾年留学生全が縫ひ呉れし上衣も古る
トモニマナベル リョウノイクトセ リュウガクセイ ツエンガヌヒクレシ ルパシカモフル
『不文の掟』(四季書房 1960) p.46
【初出】
『形成』 1957.1 淡水 (1)
00584
抗日の志捨てぬ兄のことも洩らしきたどたどしき日本語に
コウニチノ ココロザシステヌ アニノコトモ モラシキタドタド シキニホンゴニ
『不文の掟』(四季書房 1960) p.46
【初出】
『形成』 1957.1 淡水 (2)
00585
異邦に病む君を看護りき譫言の満州語誰を呼ぶとも知らず
イホウニヤム キミヲミトリキ ウハゴトノ マンシュウゴタレヲ ヨブトモシラズ
『不文の掟』(四季書房 1960) p.47
【初出】
『形成』 1957.1 淡水 (3)
00586
ソ連圏にのがれゆきて還らぬ友の住所空欄となれる名簿届きぬ
ソレンケンニ ノガレユキテカエラヌ トモノジュウショ クウラントナレル メイボトドキヌ
『不文の掟』(四季書房 1960) p.47
【初出】
『形成』 1956.11 豫後 (1)
00587
メーデーの夜に会ひたるが最後にて声よく徹る君と思ひつ
メーデーノ ヨルニアヒタルガ サイゴニテ コエヨクトホル キミトオモヒツ
『不文の掟』(四季書房 1960) p.48
【初出】
『形成』 1956.11 豫後 (2)
00588
夜半に聴くモスクワ放送コルホーズの稔りの歌を前奏として
ヨワニキク モスクワホウソウ コルホーズノ ミノリノウタヲ ゼンソウトシテ
『不文の掟』(四季書房 1960) p.48
00589
日本の秋を恋ふ日無きまで満たされてウクライナにゐむ友と思はず
ニホンノアキヲ コフヒナキマデ ミタサレテ ウクライナニヰム トモトオモハズ
『不文の掟』(四季書房 1960) p.48
【初出】
『形成』 1956.11 豫後 (3)