目次
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全短歌(歌集等)
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不文の掟
かたむく舷
帰納して
沖をゆく
くらがりに
竹群の
疲れつつ
夜更けて
迂闊なる
真実を
00622
帰納して得む答へなど信ぜねど貝殻は光る夜の渚に
キノウシテ エムコタヘナド シンゼネド カイガラハヒカル ヨルノナギサニ
『不文の掟』(四季書房 1960) p.62
【初出】 『短歌研究』 1959.4 占象 (6)
00623
沖をゆく船のあかりに執しゐしひととき過ぎて還るさみしさ
オキヲユク フネノアカリニ シフシヰシ ヒトトキスギテ カエルサミシサ
『不文の掟』(四季書房 1960) p.62
【初出】
『形成』 1959.5 夕かげ (3)
00624
くらがりに何踏みて来しわが靴ぞ脱ぎ捨ててふり向けば光りぬ
クラガリニ ナニフミテコシ ワガクツゾ ヌギステテフリ ムケバヒカリヌ
『不文の掟』(四季書房 1960) p.63
【初出】
『短歌研究』 1956.7 背後のこゑ (3)
00625
竹群の響みにながく醒めゐしか思ひめぐらす詭策も無きに
タカムラノ トヨミニナガク サメヰシカ オモヒメグラス キサクモナキニ
『不文の掟』(四季書房 1960) p.63
【初出】
『形成』 1959.5 夕かげ (4)
00626
疲れつつ何にかたむくわが心右舷の窓もいつしか暗し
ツカレツツ ナンニカタムク ワガココロ ウゲンノマドモ イツシカクラシ
『不文の掟』(四季書房 1960) p.63
【初出】
『形成』 1958.10 葉月 (6)
00627
夜更けて厚く凪ぎゆく海の面遠く音なく雷光わたる
ヨルフケテ アツクナギユク ウミノオモ トオクオトナク ライコウワタル
『不文の掟』(四季書房 1960) p.64
【初出】
『形成』 1958.10 葉月 (5)
00628
迂闊なる言葉あやぶみ聴きゐしがデッキに立てばわれより高し
ウカツナル コトバアヤブミ キキヰシガ デッキニタテバ ワレヨリタカシ
『不文の掟』(四季書房 1960) p.64
【初出】
『形成』 1958.12 季秋 (7)
00629
真実を知りゐることも負ひめとし船は近づく東京の灯へ
シンジツヲ シリヰルコトモ オヒメトシ フネハチカヅク トウキョウノヒヘ
『不文の掟』(四季書房 1960) p.64
【初出】
『形成』 1959.5 夕かげ (5)