目次
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全短歌(歌集等)
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不文の掟
夜の椅子
砂地にて
昏れぐれの
夕潮の
海なかの
いくたびも
夜の潮の
舟唄に
帆をおろして
00659
砂地にて不意にとぎるる軌条見き何をつながむわれの歩みぞ
スナチニテ フイニトギルル キジョウミキ ナニヲツナガム ワレノアユミゾ
『不文の掟』(四季書房 1960) p.76
【初出】
『短歌』 1958.3 夜陰のおと (1)
00660
昏れぐれの渚に鴎とびかへば模糊として夢の醒めぎはに似つ
クレグレノ ナギサニカモメ トビカヘバ モコトシテユメノ サメギハニニツ
『不文の掟』(四季書房 1960) p.76
【初出】
『短歌』 1958.3 夜陰のおと (3)
00661
夕潮の満ちてしづけき潟あらむ姿見のなかすでに人ゐず
ユウシオノ ミチテシヅケキ カタアラム スガタミノナカ スデニヒトヰズ
『不文の掟』(四季書房 1960) p.77
【初出】
『短歌』 1958.3 夜陰のおと (2)
00662
海なかの浮標の位置も知らずしてひそかに移すわが夜の椅子
ワタナカノ フヒョウノイチモ シラズシテ ヒソカニウツス ワガヨルノイス
『不文の掟』(四季書房 1960) p.77
【初出】
『短歌』 1958.3 夜陰のおと (5)
00663
いくたびも月さす海を見に立てど騎馬の音などする筈のなし
イクタビモ ツキサスウミヲ ミニタテド キバノオトナド スルハズノナシ
『不文の掟』(四季書房 1960) p.77
【初出】
『短歌』 1958.3 夜陰のおと (4)
00664
夜の潮の満ちくる響きかの崖のどのあたりまで波は届くぞ
ヨノウシホノ ミチクルヒビキ カノガケノ ドノアタリマデ ナミハトドクゾ
『不文の掟』(四季書房 1960) p.78
【初出】
『短歌』 1956.11 カナダまで (15)
00665
舟唄にめざめむ朝を待つごとく岬の見ゆる椅子に睡りつ
バルカロールニ メザメムアサヲ マツゴトク ミサキノミユル イスニネムリツ
『不文の掟』(四季書房 1960) p.78
【初出】
『形成』 1958.4 春寒 (2)
00666
帆をおろして闇に漂へるヨット見き霧はれゆけば朝凪ぎの海
ホヲオロシテ ヤミニタダヨヘル ヨットミキ キリハレユケバ アサナギノウミ
『不文の掟』(四季書房 1960) p.78
【初出】
『林鐘』 1957.5/6 来春 (9)