目次
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全短歌(歌集等)
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不文の掟
夕占
草萌えの
少しづつ
遠山の
夕占を
間なく降る
貝殻いろに
いづくにか
春めきて
00718
草萌えの牧場のかなた茫洋を限りて白き柵をめぐらす
クサモエノ マキバノカナタ ボウヨウヲ カギリテシロキ サクヲメグラス
『不文の掟』(四季書房 1960) p.99
【初出】
『短歌』 1958.3 夜陰のおと (9)
00719
少しづつ歪みの除れてゆくごとくたゆたひて雲の塊流る
スコシヅツ ヒズミノトレテ ユクゴトク タユタヒテクモノ カタマリナガル
『不文の掟』(四季書房 1960) p.99
【初出】
『形成』 1958.6 灯かげ (5)
00720
遠山のイハザクラここの河原にひらく経緯もわれは知りたき
トオヤマノ イハザクラココノ カワハラニ ヒラクケイイモ ワレハシリタキ
『不文の掟』(四季書房 1960) p.100
【初出】
『短歌』 1958.3 夜陰のおと (8)
00721
夕占をこころむるがに仰ぐ空母さへ今の絆となるな
ユフウラヲ ココロムルガニ アオグソラ ハハサヘイマノ キヅナトナルナ
『不文の掟』(四季書房 1960) p.100
【初出】
『短歌研究』 1958.1 夕占 (12)
00722
間なく降る竹の落ち葉の中を来てかへりみ易き性をうとまず
マナクフル タケノオチバノ ナカヲキテ カヘリミヤスキ サガヲウトマズ
『不文の掟』(四季書房 1960) p.100
【初出】
『形成』 1958.1 秋郊 (17)
00723
貝殻いろにかがよふ雲をかすめゆく一機地上はすでに昏れゐて
カイガライロニ カガヨフクモヲ カスメユク イッキチジョウハ スデニクレヰテ
『不文の掟』(四季書房 1960) p.101
【初出】
『形成』 1958.1 秋郊 (11)
00724
いづくにかひとりでに開く窓あるや闇のなかにて花の香うごく
イヅクニカ ヒトリデニアク マドアルヤ ヤミノナカニテ ハナノカウゴク
『不文の掟』(四季書房 1960) p.101
【初出】
『短歌』 1958.7 夢うら (10)
00725
春めきてゆく朝々に着惑ひて変りばえせぬ服ばかり持つ
ハルメキテ ユクアサアサニ キマドヒテ カワリバエセヌ フクバカリモツ
『不文の掟』(四季書房 1960) p.101
【初出】
『形成』 1959.5 夕かげ (7)