目次
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全短歌(歌集等)
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不文の掟
事務服
皮相のみ
仕事にて
着くづれを
名も告げず
句読点
憤然と
身に課する
たはやすく
00742
皮相のみ追ふごとくしてわが中に活字にし得ぬ記事溜りゆく
ヒソウノミ オフゴトクシテ ワガナカニ カツジニシエヌ キジタマリユク
『不文の掟』(四季書房 1960) p.108
【初出】
『形成』 1958.10 葉月 (4)
00743
仕事にて明日は会ふべき幾人にかきまはされてこの夜のこころ
シゴトニテ アスハアフベキ イクタリニ カキマハサレテ コノヨノココロ
『不文の掟』(四季書房 1960) p.108
【初出】
『形成』 1958.11 秋意 (6)
00744
着くづれを直して戻り来し椅子のなぞへにたれの耳環か光る
キクヅレヲ ナオシテモドリ コシイスノ ナゾヘニタレノ ミミワカヒカル
『不文の掟』(四季書房 1960) p.109
【初出】
『形成』 1958.6 灯かげ (3)
00745
名も告げず切られしといふ留守のまの電話解き得ぬ謎となし置く
ナモツゲズ キラレシトイフ ルスノマノ デンワトキエヌ ナゾトナシオク
『不文の掟』(四季書房 1960) p.109
【初出】
『形成』 1958.10 葉月 (1)
00746
句読点うちあぐみつつ書く書類午後は耳のみ敏くなりゐて
クトウテン ウチアグミツツ カクショルイ ゴゴハミミノミ サトクナリヰテ
『不文の掟』(四季書房 1960) p.109
【初出】
『形成』 1958.12 季秋 (2)
00747
憤然と座を立つ友を見送れり誤れるともいさぎよきかな
フンゼント ザヲタツトモヲ ミオクレリ アヤマレルトモ イサギヨキカナ
『不文の掟』(四季書房 1960) p.110
【初出】
『形成』 1956.6 季春 (11)
00748
身に課する禁句の幾つ事務服を脱ぐ夕べにてかなしみ深し
ミニカスル キンクノイクツ ジムフクヲ ヌグユウベニテ カナシミフカシ
『不文の掟』(四季書房 1960) p.110
【初出】
『短歌』 1958.3 夜陰のおと (15)
00749
たはやすく凪がむこころと思はねど帰り来てエリカの花匂ふ部屋
タハヤスク ナガムココロト オモハネド カエリキテエリカノ ハナニオフヘヤ
『不文の掟』(四季書房 1960) p.110
【初出】
『短歌』 1958.3 夜陰のおと (20)