目次
/
全短歌(歌集等)
/
不文の掟
ぞめく森
電光に
待たれゐむ
覚られず
袖刳りの
落飾し
00875
電光にをりふし深く射られつつぞめく森あり夜のまなかひに
デンコウニ ヲリフシフカク イラレツツ ゾメクモリアリ ヨノマナカヒニ
『不文の掟』(四季書房 1960) p.159
【初出】
『短歌研究』 1958.1 夕占 (13)
00876
待たれゐむ檄さへ今は書き得ぬに組みを解かれてひしめく活字
マタレヰム ゲキサヘイマハ カキエヌニ クミヲトカレテ ヒシメクカツジ
『不文の掟』(四季書房 1960) p.159
【初出】
『短歌』 1960.3 冬の言葉 (23)
00877
覚られず過ぎつつ消えぬ齟齬のあり溺れむとする夜を阻みて
サトラレズ スギツツキエヌ ソゴノアリ オボレムトスル ヨルヲコバミテ
『不文の掟』(四季書房 1960) p.160
00878
袖刳りの曲線を裁つ手もとより夜のほとぼりも失ひ易し
ソデグリノ キョクセンヲタツ テモトヨリ ヨノホトボリモ ウシナヒヤスシ
『不文の掟』(四季書房 1960) p.160
【初出】
『短歌』 1960.3 冬の言葉 (15)
00879
落飾し終れる古き物語きりきりと堪へてゐる日々に恋ふ
ラクショクシ オワレルフルキ モノガタリ キリキリトタヘテ ヰルヒビニコフ
『不文の掟』(四季書房 1960) p.160
【初出】
『短歌』 1960.3 冬の言葉 (20)