目次
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全短歌(歌集等)
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無数の耳
野火の村
砲身の
防災幕の
片端を
悪霊を
忽ちに
新しく
切り株を
橋桁の
01283
砲身の長さを覆ふシート打ち雨音しげし停車の間
ホウシンノ ナガサヲオオフ シートウチ アマオトシゲシ テイシャノアヒダ
『無数の耳』(短歌研究社 1966) p.139
【初出】
『短歌』 1964.3 野火の村 (17)
01284
防災幕のたるみに溜まりゐし水の歩道に落ちてしぶきをあげつ
ボウサイマクノ タルミニタマリ ヰシミズノ ホドウニオチテ シブキヲアゲツ
『無数の耳』(短歌研究社 1966) p.139
【初出】
『短歌』 1964.3 野火の村 (18)
01285
片端を地上の杭につなぎたる巻尺を率て人降りゆく
カタハシヲ チジョウノクイニ ツナギタル マキジャクヲヰテ ヒトクダリユク
『無数の耳』(短歌研究社 1966) p.140
【初出】
『短歌』 1964.3 野火の村 (19)
01286
悪霊を逐はむ願ひはわれも持つ夜々に野火焚く村を過ぎつつ
アクリョウヲ オハムネガヒハ ワレモモツ ヨヨニノビタク ムラヲスギツツ
『無数の耳』(短歌研究社 1966) p.140
【初出】
『短歌』 1964.3 野火の村 (20)
01287
忽ちに飯場解かれて枯れ原をつなぐ分厚き橋残されぬ
タチマチニ ハンバトカレテ カレハラヲ ツナグブアツキ ハシノコサレヌ
『無数の耳』(短歌研究社 1966) p.140
【初出】
『短歌』 1964.3 野火の村 (22)
01288
新しく敷かれし砂利の匂ふ道雨の匂ひに似つつ歩めり
アタラシク シカレシジャリノ ニオフミチ アメノニオヒニ ニツツアユメリ
『無数の耳』(短歌研究社 1966) p.141
【初出】
『短歌』 1964.3 野火の村 (23)
01289
切り株を起こす作業にきほひゐつ壕掘りしこともなき少年ら
キリカブヲ オコスサギョウニ キホヒヰツ ガウホリシコトモ ナキショウネンラ
『無数の耳』(短歌研究社 1966) p.141
【初出】
『短歌』 1964.3 野火の村 (21)
01290
橋桁のほとりまで来て消されたる野火の跡あり踏みつつ帰る
ハシゲタノ ホトリマデキテ ケサレタル ノビノアトアリ フミツツカエル
『無数の耳』(短歌研究社 1966) p.141
【初出】
『短歌』 1964.3 野火の村 (25)