目次
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全短歌(歌集等)
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無数の耳
影絵
桧扇の
そそのかされし
予想など
いりくめる
せきれいの
間をおかず
床飾りの
空き罐に
01438
桧扇の緒のほつれゐし古き雛をつくろひて祭る姉妹の部屋に
ヒアフギノ ヲノホツレヰシ フルキヒナヲ ツクロヒテマツル シマイノヘヤニ
『無数の耳』(短歌研究社 1966) p.198
【初出】 『短歌研究』 1965.5 海の記憶 (45)
01439
そそのかされし人も唆せし人も互に親し噂に聞けば
ソソノカサレシ ヒトモソソノカ セシヒトモ カタミニチカシ ウワサニキケバ
『無数の耳』(短歌研究社 1966) p.198
【初出】
『形成』 1965.3 「無題」 (5)
01440
予想など立てて危ふきなりはひに男ら声を嗄らしつつ呼ぶ
ヨソウナド タテテアヤフキ ナリハヒニ オトコラコエヲ カラシツツヨブ
『無数の耳』(短歌研究社 1966) p.199
【初出】
『形成』 1965.3 「無題」 (4)
01441
いりくめる港の町と聞くのみに開くことなき一枚の地図
イリクメル ミナトノマチト キクノミニ ヒラクコトナキ イチマイノチズ
『無数の耳』(短歌研究社 1966) p.199
【初出】 『短歌研究』 1965.5 海の記憶 (4)
01442
せきれいのゆくへもいつか見失ひ影絵のごとし木の間の道は
セキレイノ ユクヘモイツカ ミウシナヒ カゲエノゴトシ コノマノミチハ
『無数の耳』(短歌研究社 1966) p.199
01443
間をおかず砂塵舞ひたつ道のほとり白の椿も早く過ぎゆく
マヲオカズ サジンマヒタツ ミチノホトリ シロノツバキモ ハヤクスギユク
『無数の耳』(短歌研究社 1966) p.200
01444
床飾りの鷹の目玉が光る日は用心せよと言ふ父も亡し
トコカザリノ タカノメダマガ ヒカルヒハ ヨウジンセヨト イフチチモナシ
『無数の耳』(短歌研究社 1966) p.200
【初出】 『短歌研究』 1965.5 海の記憶 (46)
01445
空き罐に太き雨降りあわただし何待ちてゐしわれかと思ふ
アキカンニ フトキアメフリ アワタダシ ナニマチテヰシ ワレカトオモフ
『無数の耳』(短歌研究社 1966) p.200
【初出】 『短歌研究』 1965.5 海の記憶 (47)