目次
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全短歌(歌集等)
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無数の耳
去年の種子
うるみゐし
切り株に
マラソンの
風船に
蛇使ひの
01522
うるみゐし輪郭のふと定まりて換羽終へたる文鳥の白
ウルミヰシ リンカクノフト サダマリテ カンウオヘタル ブンチョウノシロ
『無数の耳』(短歌研究社 1966) p.229
【初出】
『形成』 1965.10 「無題」 (1)
01523
切り株にもとの榎の立ちそそり次第に深き眠りを誘ふ
キリカブニ モトノエノキノ タチソソリ シダイニフカキ ネムリヲサソフ
『無数の耳』(短歌研究社 1966) p.229
01524
マラソンの少年一人音もなく夜更けの坂を下りてゆきぬ
マラソンノ ショウネンヒトリ オトモナク ヨフケノサカヲ クダリテユキヌ
『無数の耳』(短歌研究社 1966) p.230
01525
風船に運ばれて来し去年の種子今し紺碧のあさがほと咲く
フウセンニ ハコバレテコシ コゾノタネ イマシコンペキノ アサガホトサク
『無数の耳』(短歌研究社 1966) p.230
【初出】
『形成』 1965.10 「無題」 (4)
01526
蛇使ひの少年をかこむ環もとけて脈絡のなき人波流る
ヘビツカヒノ ショウネンヲカコム ワモトケテ ミャクラクノナキ ヒトナミナガル
『無数の耳』(短歌研究社 1966) p.230
【初出】
『形成』 1965.10 「無題」 (5)