目次
/
全短歌(歌集等)
/
無数の耳
楡の落ち葉
しづかなる
日覆ひを
賑はひて
楡の木の
ふくらみて
01527
しづかなる旋律をふと聴くごとし糸光らせて虫の降り来る
シヅカナル センリツヲフト キクゴトシ イトヒカラセテ ムシノオリクル
『無数の耳』(短歌研究社 1966) p.231
01528
日覆ひをはづせし書庫の明るさに花束を持つドガの踊り子
ヒオオヒヲ ハヅセシショコノ アカルサニ ハナタバヲモツ ドガノオドリコ
『無数の耳』(短歌研究社 1966) p.231
01529
賑はひて寂しき森の祭りあり立てしのぼりのはたはたと鳴る
ニギハヒテ サビシキモリノ マツリアリ タテシノボリノ ハタハタトナル
『無数の耳』(短歌研究社 1966) p.232
01530
楡の木の落ち葉は深し夏の日に小鳥埋めたる土を蔽ひて
ニレノキノ オチバハフカシ ナツノヒニ コトリウメタル ツチヲオオヒテ
『無数の耳』(短歌研究社 1966) p.232
01531
ふくらみてすぐしぼみしは何ならむ寂しき夢を見る夜がつづく
フクラミテ スグシボミシハ ナニナラム サビシキユメヲ ミルヨガツヅク
『無数の耳』(短歌研究社 1966) p.232