ギヤマンの花


02228
心か何かのやうに吹かれてどこまでもころがる落ち葉とどまる落ち葉
ココロカナニカノ ヤウニフカレテ ドコマデモ コロガルオチバ トドマルオチバ

『雲の地図』(短歌新聞社 1975) p.30
【初出】 『短歌公論』 1972.1 ギヤマンの花 (1)


02229
耳ばかり鋭くなりてアカシアのうつろの莢の鳴る夜を行けり
ミミバカリ スルドクナリテ アカシアノ ウツロノサヤノ ナルヨヲユケリ

『雲の地図』(短歌新聞社 1975) p.30
【初出】 『短歌公論』 1972.1 ギヤマンの花 (2)


02230
ゆくりなく窓に映りてわが見しはみづからの持つゆきずりの顔
ユクリナク マドニウツリテ ワガミシハ ミヅカラノモツ ユキズリノカオ

『雲の地図』(短歌新聞社 1975) p.31
【初出】 『短歌公論』 1972.1 ギヤマンの花 (3)


02231
ものを食む現し身の不意になまぐさし灯ともりて咲くギヤマンの花
モノヲハム ウツシミノフイニ ナマグサシ ヒトモリテサク ギヤマンノハナ

『雲の地図』(短歌新聞社 1975) p.31
【初出】 『短歌公論』 1972.1 ギヤマンの花 (5)


02232
ここにゐる限りは見えて足の折れしガラスの鹿のふたたび立たず
ココニヰル カギリハミエテ アシノオレシ ガラスノシカノ フタタビタタズ

『雲の地図』(短歌新聞社 1975) p.31
【初出】 『短歌公論』 1972.1 ギヤマンの花 (4)