うすらかに


02327
うすらかに鰭をまとはむ満たしたる真水のやうな朝が来てゐる
ウスラカニ ヒレヲマトハム ミタシタル マミヅノヤウナ アサガキテヰル

『雲の地図』(短歌新聞社 1975) p.67


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花過ぎてリラの若葉の翳る窓魚らは水に倦む日の無きか
ハナスギテ リラノワカバノ カゲルマド ウヲラハミズニ ウムヒノナキカ

『雲の地図』(短歌新聞社 1975) p.67


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始まりも終りも知らず生きゐると小さく署名なすとき思ふ
ハジマリモ オワリモシラズ イキヰルト チイサクショメイ ナストキオモフ

『雲の地図』(短歌新聞社 1975) p.68


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結び目はみな解きはなせ降るやうに楓の花の散り敷く日なり
ムスビメハ ミナトキハナセ フルヤウニ カエデノハナノ チリシクヒナリ

『雲の地図』(短歌新聞社 1975) p.68


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時計塔のあたりにいまだ日の残り人はゆきかふ地上の闇を
トケイトウノ アタリニイマダ ヒノノコリ ヒトハユキカフ チジョウノヤミヲ

『雲の地図』(短歌新聞社 1975) p.68