ほくろの一つ


02558
夢見たるのちのさびしさかきまぜて鶏卵一つ黄に濁しゆく
ユメミタル ノチノサビシサ カキマゼテ ケイランヒトツ キニニゴシユク

『雲の地図』(短歌新聞社 1975) p.147
【初出】 『短歌新聞』 1973.8 ほくろの一つ (1)


02559
刻限となれば出でゆく口もとにほくろの一つ描くこともなく
コクゲント ナレバイデユク クチモトニ ホクロノヒトツ カクコトモナク

『雲の地図』(短歌新聞社 1975) p.147
【初出】 『短歌新聞』 1973.8 ほくろの一つ (3)


02560
卓上の薔薇にあつめてゐし思ひ議事のなかばより乱されはじむ
タクジョウノ バラニアツメテ ヰシオモヒ ギジノナカバヨリ ミダサレハジム

『雲の地図』(短歌新聞社 1975) p.148
【初出】 『短歌新聞』 1973.8 ほくろの一つ (4)


02561
身の証し立つと思はずてのひらはわけの分らぬかたちにひらく
ミノアカシ タツトオモハズ テノヒラハ ワケノワカラヌ カタチニヒラク

『雲の地図』(短歌新聞社 1975) p.148
【初出】 『短歌新聞』 1973.8 ほくろの一つ (5)