目次
/
全短歌(歌集等)
/
野分の章
モノドラマ
蜂や蛾を
ゆく末の
書かれゐし
震動の
おもむろに
積乱雲
四トン車に
スプリンクラーの
03172
蜂や蛾を怖れつつ野の家に棲むモノドラマもあと三月のあひだ
ハチヤガヲ オソレツツノノ イエニスム モノドラマモアト ミツキノアヒダ
『野分の章』(牧羊社 1978) p.153
【初出】
『形成』 1977.11 「無題」 (1)
03173
ゆく末の如何になるとも今見ゆるかの波だけは越えねばならず
ユクスエノ イカニナルトモ イマミユル カノナミダケハ コエネバナラズ
『野分の章』(牧羊社 1978) p.153
【初出】
『形成』 1977.11 「無題」 (2)
03174
書かれゐし何の数字か黒板を拭き消して午後の会議を始む
カカレヰシ ナンノスウジカ コクバンヲ フキケシテゴゴノ カイギヲハジム
『野分の章』(牧羊社 1978) p.154
【初出】
『形成』 1977.11 「無題」 (3)
03175
震動のはげしき電車たれもみなひびわれて立ってゐるのかも知れず
シンドウノ ハゲシキデンシャ タレモミナ ヒビワレテタッテ ヰルノカモシシレズ
『野分の章』(牧羊社 1978) p.154
【初出】
『形成』 1977.11 「無題」 (4)
03176
おもむろに心移して生きゆかむゑのころぐさを抜きつつ帰る
オモムロニ ココロウツシテ イキユカム ヱノコログサヲ ヌキツツカエル
『野分の章』(牧羊社 1978) p.154
【初出】
『形成』 1977.11 「無題」 (5)
03177
積乱雲あはく燃えつつ暮れむとす窓をしむればわが小世界
セキランウン アハクモエツツ クレムトス マドヲシムレバ ワガショウセカイ
『野分の章』(牧羊社 1978) p.155
【初出】
『形成』 1977.11 「無題」 (6)
03178
四トン車に詰めて預け来し書物あり如何にか積まむ新しき家に
ヨントンシャニ ツメテアズケコシ ショモツアリ イカニカツマム アタラシキイエニ
『野分の章』(牧羊社 1978) p.155
【初出】
『形成』 1977.11 「無題」 (7)
03179
スプリンクラーの霧の高さの整ひて芝生に無数の虹立ちはじむ
スプリンクラーノ キリノタカサノ トトノヒテ シバフニムスウノ ニジタチハジム
『野分の章』(牧羊社 1978) p.155
【初出】
『形成』 1976.9 「無題」 (4)