目次
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全短歌(歌集等)
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野分の章
甲虫
ねぢ釘を
みどり児を
事務室の
はかどらぬ
粉チーズ
甲虫の
四日目の
03245
ねぢ釘を探す箱より出でて来て何の鍵とも知れず小さし
ネヂクギヲ サガスハコヨリ イデテキテ ナンノカギトモ シレズチイサシ
『野分の章』(牧羊社 1978) p.184
【初出】
『形成』 1978.5 「無題」 (1)
03246
みどり児をいだく重みもわが知らず帳簿かかへて廊を往き来す
ミドリゴヲ イダクオモミモ ワガシラズ チョウボカカヘテ ロウヲユキキス
『野分の章』(牧羊社 1978) p.184
【初出】
『形成』 1978.5 「無題」 (2)
03247
事務室の外はまた雨直ちには答へぬ習ひいつよりか持つ
ジムシツノ ソトハマタアメ タダチニハ コタヘヌナラヒ イツヨリカモツ
『野分の章』(牧羊社 1978) p.185
【初出】
『形成』 1978.5 「無題」 (4)
03248
はかどらぬこよひの仕事不揃ひの紙の裁ち目の気になりてゐて
ハカドラヌ コヨヒノシゴト フゾロヒノ カミノタチメノ キニナリテヰテ
『野分の章』(牧羊社 1978) p.185
【初出】
『形成』 1978.5 「無題」 (5)
03249
粉チーズ砕きて振りてグラタンの皿を使ふも幾月ぶりか
コナチーズ クダキテフリテ グラタンノ サラヲツカフモ イクツキブリカ
『野分の章』(牧羊社 1978) p.185
【初出】
『形成』 1978.5 「無題」 (6)
03250
甲虫の如くにもがきゐしわれも見てゐたる貌も覚むればあらぬ
コウチュウノ ゴトクニモガキ ヰシワレモ ミテヰタルカオモ サムレバアラヌ
『野分の章』(牧羊社 1978) p.186
【初出】
『形成』 1978.5 「無題」 (8)
03251
四日目の夕に熱の引きて醒む何も歎かず経し百時間
ヨッカメノ ユウベニネツノ ヒキテサム ナニモナゲカズ ヘシヒャクジカン
『野分の章』(牧羊社 1978) p.186
【初出】
『形成』 1978.5 「無題」 (7)