目次
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全短歌(歌集等)
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風水
秋より冬へ
惑はしの
照準の
吹き荒れし
守られて
人づてに
急速に
この家の
行跡を
03427
惑はしの声のごとしもゆく末をつくづくと思ひ見よといふ声
マドハシノ コエノゴトシモ ユクスエヲ ツクヅクトオモヒ ミヨトイフコエ
『風水』(沖積舎 1986) p.60
【初出】
『形成』 1978.12 「無題」 (3)
03428
照準の不意に定まりくれなゐに芙蓉の花の咲く道に出づ
ショウジュンノ フイニサダマリ クレナヰニ フヨウノハナノ サクミチニイヅ
『風水』(沖積舎 1986) p.60
【初出】
『形成』 1978.12 「無題」 (1)
03429
吹き荒れし嵐なりしがこのままを往けよと如く落ち葉が匂ふ
フキアレシ アラシナリシガ コノママヲ ユケヨトゴトク オチバガニオフ
『風水』(沖積舎 1986) p.61
【初出】
『形成』 1978.12 「無題」 (4)
03430
守られて生きたる日なきわが上にいたくやさしくいざなひの声
マモラレテ イキタルヒナキ ワガウエニ イタクヤサシク イザナヒノコエ
『風水』(沖積舎 1986) p.61
【初出】
『形成』 1978.12 「無題」 (5)
03431
人づてに聞きたることの彩なすをたしなめて雨の陸橋を越ゆ
ヒトヅテニ キキタルコトノ アヤナスヲ タシナメテアメノ リッキョウヲコユ
『風水』(沖積舎 1986) p.61
【初出】
『形成』 1978.12 「無題」 (2)
03432
急速に興味失ひゆくことの失意に似つつ別れ来りぬ
キュウソクニ キョウミウシナヒ ユクコトノ シツイニニツツ ワカレキタリヌ
『風水』(沖積舎 1986) p.62
【初出】
『形成』 1978.12 「無題」 (6)
03433
この家の二度目の冬に入らむとし今朝よりはボアの上衣をまとふ
コノイエノ ニドメノフユニ イラムトシ ケサヨリハボアノ ウワギヲマトフ
『風水』(沖積舎 1986) p.62
【初出】
『形成』 1978.12 「無題」 (7)
03434
行跡をくらますといへりわが日々にくらますほどのこともなし得ぬ
ギョウセキヲ クラマストイヘリ ワガヒビニ クラマスホドノ コトモナシエヌ
『風水』(沖積舎 1986) p.62
【初出】
『形成』 1978.12 「無題」 (8)