目次
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全短歌(歌集等)
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風水
吸盤
出まかせの
ひさびさに
ガラスのビルを
過ぎて来て
つぎつぎに
03476
出まかせの理由を言ひて出でてゆく必要もなく鍵しめて出づ
デマカセノ リユウヲイヒテ イデテユク ヒツヨウモナク カギシメテイヅ
『風水』(沖積舎 1986) p.80
【初出】
『短歌』 1979.1 夜の銀座 (1)
03477
ひさびさに歩む銀座の夕まぐれ影濃く犬の曳かれてゆけり
ヒサビサニ アユムギンザノ ユウマグレ カゲコクイヌノ ヒカレテユケリ
『風水』(沖積舎 1986) p.80
【初出】
『短歌』 1979.1 夜の銀座 (2)
03478
ガラスのビルを仰ぎてをれば吸盤を持たざる不意の怖れはきざす
ガラスノビルヲ アオギテヲレバ キュウバンヲ モタザルフイノ オソレハキザス
『風水』(沖積舎 1986) p.81
【初出】
『短歌』 1979.1 夜の銀座 (3)
03479
過ぎて来てわが身のそよぐ思ひしつ毛皮の匂ふコートの売り場
スギテキテ ワガミノソヨグ オモヒシツ ケガワノニオフ コートノウリバ
『風水』(沖積舎 1986) p.81
【初出】
『短歌』 1979.1 夜の銀座 (4)
03480
つぎつぎに鳩を飛ばしゐたる手品師の左利きなりしことのみ思ふ
ツギツギニ ハトヲトバシヰタル テジナシノ ヒダリキキナリシ コトノミオモフ
『風水』(沖積舎 1986) p.81
【初出】
『短歌』 1979.1 夜の銀座 (5)