突起


03648
さまざまに思ひ描きて過ぎ来しが死のまぎはまで働くもよし
サマザマニ オモヒエガキテ スギコシガ シノマギハマデ ハタラクモヨシ

『風水』(沖積舎 1986) p.146
【初出】 『短歌研究』 1980.3 突起 (1)


03649
見慣れたる景色なれども感情の突起のごとし今日見る山は
ミナレタル ケシキナレドモ カンジョウノ トッキノゴトシ キョウミルヤマハ

『風水』(沖積舎 1986) p.146
【初出】 『短歌研究』 1980.3 突起 (2)


03650
茫々と吹かるるは尾花のみならず足首寒しバスを待つとき
ボウボウト フカルルハオバナ ノミナラズ アシクビサムシ バスヲマツトキ

『風水』(沖積舎 1986) p.147
【初出】 『短歌研究』 1980.3 突起 (3)


03651
凶の花咲くと伝ふるかの森も浮き城なして夕靄のなか
キョウノハナ サクトツタフル カノモリモ ウキシロナシテ ユウモヤノナカ

『風水』(沖積舎 1986) p.147
【初出】 『短歌研究』 1980.3 突起 (4)


03652
亡き人のたれとも知れず夢に来て菊人形のごとく立ちゐき
ナキヒトノ タレトモシレズ ユメニキテ キクニンギョウノ ゴトクタチヰキ

『風水』(沖積舎 1986) p.147
【初出】 『短歌研究』 1980.3 突起 (5)


03653
寄り道を告げて別れて行きにしが読めばきりなし人のこころは
ヨリミチヲ ツゲテワカレテ ユキニシガ ヨメバキリナシ ヒトノココロハ

『風水』(沖積舎 1986) p.148
【初出】 『短歌研究』 1980.3 突起 (6)


03654
囮にはどのやうな鳥がなるのならむ森の落ち葉に覆はれて啼く
オトリニハ ドノヤウナトリガ ナルノナラム モリノオチバニ オオハレテナク

『風水』(沖積舎 1986) p.148
【初出】 『短歌研究』 1980.3 突起 (7)