まだらなす


03804
まをとめの像と思ふにあらはなる鎖骨のあたりひえびえと立つ
マヲトメノ ゾウトオモフニ アラハナル サコツノアタリ ヒエビエトタツ

『風水』(沖積舎 1986) p.206
【初出】 『短歌研究』 1981.1 まだらなす (1)


03805
吹かれなば消ぬべき焔守り来し器のごとし体といふは
フカレナバ ケヌベキホノオ マモリコシ ウツハノゴトシ カラダトイフハ

『風水』(沖積舎 1986) p.207
【初出】 『短歌研究』 1981.1 まだらなす (2)


03806
さりげなく聞きたることのまだらなす胸と思へり別れむとして
サリゲナク キキタルコトノ マダラナス ムネトオモヘリ ワカレムトシテ

『風水』(沖積舎 1986) p.207
【初出】 『短歌研究』 1981.1 まだらなす (3)


03807
突くために槍はあるべし幾たりを突きたる槍か飾られて見ゆ
ツクタメニ ヤリハアルベシ イクタリヲ ツキタルヤリカ カザラレテミユ

『風水』(沖積舎 1986) p.207
【初出】 『短歌研究』 1981.1 まだらなす (4)


03808
言ひおほせて何あらむかとみづからに問ひゐて言ふべき時を失ふ
イヒオホセテ ナニアラムカト ミヅカラニ トヒヰテイフベキ トキヲウシナフ

『風水』(沖積舎 1986) p.208
【初出】 『短歌研究』 1981.1 まだらなす (5)


03809
思ひたるのみに罪する掟あらばいくたびわれの死にたるならむ
オモヒタル ノミニツミスル オキテアラバ イクタビワレノ シニタルナラム

『風水』(沖積舎 1986) p.208
【初出】 『短歌研究』 1981.1 まだらなす (6)


03810
ガスマスクをつけて来にしが声のみの残りて醒めてたれとも知れぬ
ガスマスクヲ ツケテキニシガ コエノミノ ノコリテサメテ タレトモシレヌ

『風水』(沖積舎 1986) p.208
【初出】 『短歌研究』 1981.1 まだらなす (7)