花の名


03837
きさらぎの海峡を越えて来し手紙緋寒桜も咲けりと伝ふ
キサラギノ カイキョウヲコエテ コシテガミ ヒカンザクラモ サケリトツタフ

『風水』(沖積舎 1986) p.221
【初出】 『郵政』 1981.2 花の名 (1)


03838
春の虹あえかに立てば事務室のたれもやさしく窓ぎはに寄る
ハルノニジ アエカニタテバ ジムシツノ タレモヤサシク マドギハニヨル

『風水』(沖積舎 1986) p.221
【初出】 『郵政』 1981.2 花の名 (2)


03839
花びらをとざすごとくに畳まれぬ少女の買ひしブルーの傘は
ハナビラヲ トザスゴトクニ タタマレヌ オトメノカヒシ ブルーノカサハ

『風水』(沖積舎 1986) p.222
【初出】 『郵政』 1981.2 花の名 (3)


03840
広々と道路ひらけて琴の音の洩れゐし家などいかになりけむ
ヒロビロト ドウロヒラケテ コトノネノ モレヰシイエナド イカニナリケム

『風水』(沖積舎 1986) p.222
【初出】 『郵政』 1981.2 花の名 (4)


03841
花の名を問ひたるのみに別れしが雪深からむ信濃の里は
ハナノナヲ トヒタルノミニ ワカレシガ ユキフカカラム シナノノサトハ

『風水』(沖積舎 1986) p.222
【初出】 『郵政』 1981.2 花の名 (5)