雨のうたげ


03871
からくりの人形は箱にしまはれて人形もわれもくらやみのなか
カラクリノ ニンギョウハハコニ シマハレテ ニンギョウモワレモ クラヤミノナカ

『風水』(沖積舎 1986) p.235
【初出】 『ミューズ』 1981 朱夏雨のうたげ (1)


03872
自画像の頰をこの夜もそぎゐつつ極道と呼ぶ生き方に似む
ジガゾウノ ホオヲコノヨモ ソギヰツツ ゴクダウトヨブ イキカタニニム

『風水』(沖積舎 1986) p.235
【初出】 『ミューズ』 1981 朱夏雨のうたげ (2)


03873
幼な子の声などしたることなくて積みおく本を見回す日あり
オサナゴノ コエナドシタル コトナクテ ツミオクホンヲ ミマワスヒアリ

『風水』(沖積舎 1986) p.236
【初出】 『ミューズ』 1981 朱夏雨のうたげ (3)


03874
夢に見て夢と知りつつあざむけり欺くことのふとこころよく
ユメニミテ ユメトシリツツ アザムケリ アザムクコトノ フトココロヨク

『風水』(沖積舎 1986) p.236
【初出】 『ミューズ』 1981 朱夏雨のうたげ (4)


03875
ひたすらに鎮めて癒ゆる日を待つに夕べ夕べの雨のうたげよ
ヒタスラニ シズメテイユル ヒヲマツニ ユウベユウベノ アメノウタゲヨ

『風水』(沖積舎 1986) p.236
【初出】 『ミューズ』 1981 朱夏雨のうたげ (5)