雑草の丈


04025
人住まぬ家の庭にも咲きそめて都忘れは雑草の丈
ヒトスマヌ イエノニワニモ サキソメテ ミヤコワスレハ ザッソウノタケ

『印度の果実』(短歌新聞社 1986) p.72
【初出】 『毎日新聞』 1982.6 路上にて (1)


04026
回しつつ歩む日傘のレースよりこぼれてやまず木々のみどりは
マワシツツ アユムヒガサノ レースヨリ コボレテヤマズ キギノミドリハ

『印度の果実』(短歌新聞社 1986) p.73
【初出】 『毎日新聞』 1982.6 路上にて (2)


04027
自転車の輪を光らせて過ぎゆけり男二人のいづこまで行く
ジテンシャノ ワヲヒカラセテ スギユケリ オトコフタリノ イヅコマデユク

『印度の果実』(短歌新聞社 1986) p.73
【初出】 『毎日新聞』 1982.6 路上にて (3)


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風船を一つづつ持つやさしさに昼過ぎて賑はふデパートの前
フウセンヲ ヒトツヅツモツ ヤサシサニ ヒルスギテニギハフ デパートノマエ

『印度の果実』(短歌新聞社 1986) p.74
【初出】 『毎日新聞』 1982.6 路上にて (4)


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夕雲を仰ぎてをれば胸にはぜし火花のごとき思ひも過ぎぬ
ユウグモヲ アオギテヲレバ ムネニハゼシ ヒバナノゴトキ オモヒモスギヌ

『印度の果実』(短歌新聞社 1986) p.74
【初出】 『毎日新聞』 1982.6 路上にて (5)