目次
/
全短歌(歌集等)
/
印度の果実
海の傷
霊柩車を
つくばひは
それぞれの
蕗の葉の
人の声
言ひ出づる
銀いろの
渇きたる
04122
霊柩車を先立ててゆくバスのなか不意に時刻を問ひし人あり
レイキュウシャヲ サキダテテユク バスノナカ フイニジコクヲ トヒシヒトアリ
『印度の果実』(短歌新聞社 1986) p.126
【初出】
『短歌』 1984.2 象牙の花 (3)
04123
つくばひは苔むしてゐつ隙間なく十薬は生ひて花かかげゐつ
ツクバヒハ コケムシテヰツ スキマナク ジフヤクハオヒテ ハナカカゲヰツ
『印度の果実』(短歌新聞社 1986) p.127
【初出】
『形成』 1984.12 「無題」 (4)
04124
それぞれの闇をまとひて立つ木々にまじりて立たばわれは何の木
ソレゾレノ ヤミヲマトヒテ タツキギニ マジリテタタバ ワレハナンノキ
『印度の果実』(短歌新聞社 1986) p.127
【初出】
『形成』 1982.9 「無題」 (4)
04125
蕗の葉の大きくひらくしづけさに石の手を組む石の羅漢は
フキノハノ オオキクヒラク シヅケサニ イシノテヲクム イシノラカンハ
『印度の果実』(短歌新聞社 1986) p.128
【初出】
『形成』 1982.9 「無題」 (5)
04126
人の声やいばをなすと聞きをれば真実胸の辺の痛みくる
ヒトノコエ ヤイバヲナスト キキヲレバ シンジツムネノ ヘノイタミクル
『印度の果実』(短歌新聞社 1986) p.128
【初出】
『形成』 1982.1 「無題」 (3)
04127
言ひ出づることにあらねど思ひゐてわが切つ先のひらめきはじむ
イヒイヅル コトニアラネド オモヒヰテ ワガキツサキノ ヒラメキハジム
『印度の果実』(短歌新聞社 1986) p.129
【初出】
『形成』 1982.1 「無題」 (4)
04128
銀いろのタンクの遠く見ゆる窓何の合図か送られやまず
ギンイロノ タンクノトオク ミユルマド ナンノアイズカ オクラレヤマズ
『印度の果実』(短歌新聞社 1986) p.129
【初出】
『形成』 1982.11 「無題」 (5)
04129
渇きたる砂に半ばをうづもれて貝殻はみな海の傷持つ
カワキタル スナニナカバヲ ウヅモレテ カイガラハミナ ウミノキズモツ
『印度の果実』(短歌新聞社 1986) p.130
【初出】
『形成』 1982.11 「無題」 (4)