雨をんな


04135
日本は如何なる国かフルートを吹ける異人のをとめに思ふ
ニッポンハ イカナルクニカ フルートヲ フケルイジンノ ヲトメニオモフ

『印度の果実』(短歌新聞社 1986) p.134
【初出】 『形成』 1984.5 「無題」 (2)


04136
雨をんななるを思へば寒梅を見む約束も咎のごとしも
アメヲンナ ナルヲオモヘバ カンバイヲ ミムヤクソクモ トガノゴトシモ

『印度の果実』(短歌新聞社 1986) p.135


04137
水玉を小さく上げて沈みたり薔薇のかたちの砂糖二粒
ミズタマヲ チイサクアゲテ シズミタリ バラノカタチノ サトウフタツブ

『印度の果実』(短歌新聞社 1986) p.135
【初出】 『形成』 1984.3 「無題」 (4)


04138
行き違ひになりにしのみと知るまでにまた重ねたる歳月ありき
ユキチガヒニ ナリニシノミト シルマデニ マタカサネタル サイゲツアリキ

『印度の果実』(短歌新聞社 1986) p.136
【初出】 『形成』 1984.6 「無題」 (4)


04139
門をしめに出で来て不意に亡き父母の知らざる家に住むを思へり
モンヲシメニ イデキテフイニ ナキフボノ シラザルイエニ スムヲオモヘリ

『印度の果実』(短歌新聞社 1986) p.136
【初出】 『郵政』 1983.11 秋色 (2)


04140
ふるさとの野山思へばいづこにも落葉の浮かぶ水ありにけり
フルサトノ ノヤマオモヘバ イヅコニモ オチバノウカブ ミズアリニケリ

『印度の果実』(短歌新聞社 1986) p.137
【初出】 『郵政』 1983.11 秋色 (5)


04141
一語一語噴き出づるごとし盆栽の紅梅白梅ほころびそめて
イチゴイチゴ フキイヅルゴトシ ボンサイノ コウバイハクバイ ホコロビソメテ

『印度の果実』(短歌新聞社 1986) p.137
【初出】 『埼玉新聞』 1983.1 不意に新し (1)