秋暑某日


04215
牡牛座と答へしこともさびしけれまた縛られむ星占ひに
オウシザト コタヘシコトモ サビシケレ マタシバラレム ホシウラナヒニ

『風の曼陀羅』(短歌研究社 1991) p.27
【初出】 『毎日新聞』 1987.9 秋暑某日 (1)


04216
子供らの去りし図書室地球儀は印度洋の海を見せて傾く
コドモラノ サリシトショシツ チキュウギハ インドヨウノウミヲ ミセテカタムク

『風の曼陀羅』(短歌研究社 1991) p.27
【初出】 『毎日新聞』 1987.9 秋暑某日 (2)


04217
かたまりのままを呑み込む思ひせり挙手して今日の結論となる
カタマリノ ママヲノミコム オモヒセリ キョシュシテキョウノ ケツロントナル

『風の曼陀羅』(短歌研究社 1991) p.28
【初出】 『毎日新聞』 1987.9 秋暑某日 (3)


04218
会議室を出でて仰げば地上よりやや涼しげに雲が浮きゐる
カイギシツヲ イデテアオゲバ チジョウヨリ ヤヤスズシゲニ クモガウキヰル

『風の曼陀羅』(短歌研究社 1991) p.28
【初出】 『毎日新聞』 1987.9 秋暑某日 (4)


04219
裏表無しと言はれし洋紙なれ罫を引かむとして迷ひたり
ウラオモテ ナシトイハレシ ヨウシナレ ケイヲヒカムト シテマヨヒタリ

『風の曼陀羅』(短歌研究社 1991) p.28
【初出】 『毎日新聞』 1987.9 秋暑某日 (5)