未知の月日


04230
ひとり祝ふことにも慣れて研ぎあげし包丁に柚子の香りを刻む
ヒトリイワフ コトニモナレテ トギアゲシ ホウチョウニユズノ カオリヲキザム

『風の曼陀羅』(短歌研究社 1991) p.33
【初出】 『埼玉新聞』 1987.1 未知の月日 (1)


04231
福鈴を戴きて山をまからむに高く流れてとんびが鳴けリ
フクスズヲ イタダキテヤマヲ マカラムニ タカクナガレテ トンビガナケリ

『風の曼陀羅』(短歌研究社 1991) p.33
【初出】 『埼玉新聞』 1987.1 未知の月日 (2)


04232
つらら折る遊びして子らのゐるらむか冬は故郷が近づくごとし
ツララオル アソビシテコラノ ヰルラムカ フユハコキョウガ チカヅクゴトシ

『風の曼陀羅』(短歌研究社 1991) p.34
【初出】 『埼玉新聞』 1987.1 未知の月日 (3)


04233
仕事始めにラメの毛糸を編みをればきらめく如し未知の月日も
シゴトハジメニ ラメノケイトヲ アミヲレバ キラメクゴトシ ミチノツキヒモ

『風の曼陀羅』(短歌研究社 1991) p.34
【初出】 『埼玉新聞』 1987.1 未知の月日 (4)


04234
幼児の赤き手袋はめ終はるまで見て立ちて若き母親
オサナゴノ アカキテブクロ ハメオハル マデミテタチテ ワカキハハオヤ

『風の曼陀羅』(短歌研究社 1991) p.34
【初出】 『埼玉新聞』 1987.1 未知の月日 (5)