夜の向日葵


04235
夢に見てたれとも知れず遠くより招きてゐたる白の手袋
ユメニミテ タレトモシレズ トオクヨリ マネキテヰタル シロノテブクロ

『風の曼陀羅』(短歌研究社 1991) p.35
【初出】 『朝日新聞』 1987.7 夜の向日葵 (1)


04236
呼ばれたる思ひのありてふり向けば花冠光らす夜の向日葵は
ヨバレタル オモヒノアリテ フリムケバ カカンヒカラス ヨノヒマワリハ

『風の曼陀羅』(短歌研究社 1991) p.35
【初出】 『朝日新聞』 1987.7 夜の向日葵 (2)


04237
月光をはじく生け垣見て過ぎて針葉樹林は黒くしづもる
ゲッコウヲ ハジクイケガキ ミテスギテ シンヨウジュリンハ クロクシヅモル

『風の曼陀羅』(短歌研究社 1991) p.36
【初出】 『朝日新聞』 1987.7 夜の向日葵 (3)


04238
おぼろ夜を戻りてくれば側溝にカルキの匂ふ坂ありにけり
オボロヨヲ モドリテクレバ ソッコウニ カルキノニオフ サカアリニケリ

『風の曼陀羅』(短歌研究社 1991) p.36
【初出】 『朝日新聞』 1987.7 夜の向日葵 (4)


04239
帰り来てしづくのごとく光りゐしゼムクリップを畳に拾ふ
カエリキテ シヅクノゴトク ヒカリヰシ ゼムクリップヲ タタミニヒロフ

『風の曼陀羅』(短歌研究社 1991) p.36
【初出】 『朝日新聞』 1987.7 夜の向日葵 (5)