学校園


04245
食用の菊と聞けどもひと畑をうすむらさきに染めて花咲く
ショクヨウノ キクトキケドモ ヒトハタヲ ウスムラサキニ ソメテハナサク

『風の曼陀羅』(短歌研究社 1991) p.39
【初出】 『短歌研究』 1989.3 学校園 (1)


04246
まれに会ひ語りてをればシスターの姉のありしをながく知らずき
マレニアヒ カタリテヲレバ シスターノ アネノアリシヲ ナガクシラズキ

『風の曼陀羅』(短歌研究社 1991) p.39
【初出】 『短歌研究』 1989.3 学校園 (2)


04247
冬の陽に清められたる蓮沼のただ黒々と干潟なしたり
フユノヒニ キヨメラレタル ハスヌマノ タダクログロト ヒガタナシタリ

『風の曼陀羅』(短歌研究社 1991) p.40
【初出】 『短歌研究』 1989.3 学校園 (3)


04248
病む者の集まりて来て待つ部屋に胴体太き消火器置かる
ヤムモノノ アツマリテキテ マツヘヤニ ドウタイフトキ ショウカキオカル

『風の曼陀羅』(短歌研究社 1991) p.40
【初出】 『短歌研究』 1989.3 学校園 (4)


04249
冬型の気圧くづれてすでにして紀伊半島は雨降れリとぞ
フユガタノ キアツクヅレテ スデニシテ キイハントウハ アメフレリトゾ

『風の曼陀羅』(短歌研究社 1991) p.40
【初出】 『短歌研究』 1989.3 学校園 (5)


04250
雨のあと必ず最後まで残る水たまりあるを怖れて思ふ
アメノアト カナラズサイゴ マデノコル ミズタマリアルヲ オソレテオモフ

『風の曼陀羅』(短歌研究社 1991) p.41
【初出】 『短歌研究』 1989.3 学校園 (6)


04251
学校園もいつか春めき散水はをりをり遠き稜線を越ゆ
ガッコウエンモ イツカハルメキ サンスイハ ヲリヲリトオキ リョウセンヲコユ

『風の曼陀羅』(短歌研究社 1991) p.41
【初出】 『短歌研究』 1989.3 学校園 (7)