目次
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全短歌(歌集等)
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風の曼陀羅
多年草
多年草の
じつとして
手に負へぬ
おのづから
出でて行く
カウンターに
時ならず
見しことを
騒立てる
塩分を
おとなびて
今使ふ
ものおとに
身にかなふ
04257
多年草の黄菊うらうら照れれども来年の秋はいかになりゐむ
タネンソウノ キギクウラウラ テレレドモ ライネンノアキハ イカニナリヰム
『風の曼陀羅』(短歌研究社 1991) p.47
【初出】
『短歌』 1989.2 多年草 (1)
04258
じつとして沈める緋鯉堪へ切れず動くと如く身をよぢりたり
ジツトシテ シズメルヒゴイ タヘキレズ ウゴクトゴトク ミヲヨヂリタリ
『風の曼陀羅』(短歌研究社 1991) p.47
【初出】
『短歌』 1989.2 多年草 (2)
04259
手に負へぬ荷物となりぬ自然薯の異形を入れし紙の袋は
テニオヘヌ ニモツトナリヌ ジネンジヨノ イギヤウヲイレシ カミノフクロハ
『風の曼陀羅』(短歌研究社 1991) p.48
【初出】
『短歌』 1989.2 多年草 (3)
04260
おのづから意識遠のき豆電球のごとくになりてしまふときあり
オノヅカラ イシキトオノキ マメデンキュウノ ゴトクニナリテ シマフトキアリ
『風の曼陀羅』(短歌研究社 1991) p.48
【初出】
『短歌』 1989.2 多年草 (4)
04261
出でて行く菜園があるにあらねども百米までといふコードレス電話
イデテユク サイエンガアルニ アラネドモ ヒャクメートルマデトイフ コードレスデンワ
『風の曼陀羅』(短歌研究社 1991) p.48
【初出】
『短歌』 1989.2 多年草 (5)
04262
カウンターに残りてゐたる風船の空いろ二本も貰はれゆけり
カウンターニ ノコリテヰタル フウセンノ ソライロニホンモ モラハレユケリ
『風の曼陀羅』(短歌研究社 1991) p.49
【初出】
『短歌』 1989.2 多年草 (6)
04263
時ならず別離の言葉叫びたる籠の鸚鵡はみじろがずゐる
トキナラズ ベツリノコトバ サケビタル カゴノオウムハ ミジロガズヰル
『風の曼陀羅』(短歌研究社 1991) p.49
【初出】
『短歌』 1989.2 多年草 (7)
04264
見しことを見しと告げずにおくことも三人相持つ罪のごとしも
ミシコトヲ ミシトツゲズニ オクコトモ ミタリアイモツ ツミノゴトシモ
『風の曼陀羅』(短歌研究社 1991) p.49
【初出】
『短歌』 1989.2 多年草 (8)
04265
騒立てる日々なりにしが川岸の学校園は枯れ草の藪
サワダテル ヒビナリニシガ カワギシノ ガッコウエンハ カレクサノヤブ
『風の曼陀羅』(短歌研究社 1991) p.50
【初出】
『短歌』 1989.2 多年草 (9)
04266
塩分を除かば無限に水はありと幼くて何を思ひ詰めけむ
エンブンヲ ノゾカバムゲンニ ミズハアリト オサナクテナニヲ オモヒツメケム
『風の曼陀羅』(短歌研究社 1991) p.50
【初出】
『短歌』 1989.2 多年草 (10)
04267
おとなびてやさしかりしよメリンスより銘仙に移りし元禄の袖
オトナビテ ヤサシカリシヨ メリンスヨリ メイセンニウツリシ ゲンロクノソデ
『風の曼陀羅』(短歌研究社 1991) p.50
【初出】
『短歌』 1989.2 多年草 (11)
04268
今使ふ錐にあらねど目の前に見当たらざればおちつかずなる
イマツカフ キリニアラネド メノマエニ ミアタラザレバ オチツカズナル
『風の曼陀羅』(短歌研究社 1991) p.51
【初出】
『短歌』 1989.2 多年草 (12)
04269
ものおとにさときも病のゆゑといふいづこ踏切の音する夜あり
モノオトニ サトキモヤマイノ ユヱトイフ イヅコフミキリノ オトスルヨアリ
『風の曼陀羅』(短歌研究社 1991) p.51
【初出】
『短歌』 1989.2 多年草 (13)
04270
身にかなふ労働量を限られてとりとめもなく年越さむとす
ミニカナフ ロウドウリョウヲ カギラレテ トリトメモナク トシコサムトス
『風の曼陀羅』(短歌研究社 1991) p.51
【初出】
『短歌』 1989.2 多年草 (14)