女滝男滝


04298
新しき年を祝ふと今日は来てめをとの滝といふを仰げり
アタラシキ トシヲイワフト キョウハキテ メヲトノタキト イフヲアオゲリ

『風の曼陀羅』(短歌研究社 1991) p.62
【初出】 『埼玉新聞』 1988.1 女滝男滝 (1)


04299
紙垂白く吹かるる見ればいにしへとかはらず人は滝を尊ぶ
シデシロク フカルルミレバ イニシヘト カハラズヒトハ タキヲタットブ

『風の曼陀羅』(短歌研究社 1991) p.62
【初出】 『埼玉新聞』 1988.1 女滝男滝 (2)


04300
滝壺の水深を問ふ人あれどまはりのたれも答へざりけり
タキツボノ スイシンヲトフ ヒトアレド マハリノタレモ コタヘザリケリ

『風の曼陀羅』(短歌研究社 1991) p.63
【初出】 『埼玉新聞』 1988.1 女滝男滝 (3)


04301
楢の落ち葉に堰かれてゐたる滝水は早瀬となりて谷に落ちゆく
ナラノオチバニ セカレテヰタル タキミズハ ハヤセトナリテ タニニオチユク

『風の曼陀羅』(短歌研究社 1991) p.63
【初出】 『埼玉新聞』 1988.1 女滝男滝 (4)


04302
ふり返る視野昏れてゐてゆるやかに細く女滝は落ちてゐにけり
フリカエル シヤクレテヰテ ユルヤカニ ホソクメタキハ オチテヰニケリ

『風の曼陀羅』(短歌研究社 1991) p.63
【初出】 『埼玉新聞』 1988.1 女滝男滝 (5)